建立者を赤で塗る訳

穢れ

建立者を赤で塗る訳

 明治以前のお墓は故人一人づつが埋葬される個人墓が建てられましたが、現在は少なくなっていますが生前墓(逆修墓)を建立される方もおられました。その場合、生前戒名を頂き逆修牌といわれる朱(赤)を入れた(塗られた)位牌と共にお墓にも生前戒名を彫り朱を入れました。これは生前から「徳」を積み上げるとし仏教では推奨されたようです。

 生きている者は生きる為の「欲」を追及し生き続け、やがて何らの理由にて亡くなると様々な「欲」から解放され「無欲」の仏になります。

 「生きているから」朱を入れた訳ではなく生きている者は(仏で無いもの)、あの世である聖域からは「穢れ」であるとされたから失礼にならぬよう朱で消したようです。

 時代は進み、それまで手彫りだった石彫文字は機械彫りに変わり、墓石本体も機械で造られるようになると、建立された墓石そのものに現場で石彫する職人は少なくなり、没年や没年齢など追加彫りするには竿石(仏石)そのものを工場へ搬入し再び据え付ける大手間が必要となり、更に没後に朱を消す作業も必要な為、逆修墓を建立する人は少なくなったようです。

建立者を赤で塗る訳

 このような習慣があった為、「生きているから朱を入れる」と、故老から少し曲がった習慣が伝わりその後の家墓の建立者の箇所は朱で消されるようになったようです。

 現在のお墓の建立形式(家墓)では「朱を入れる必要は無い」と言われる僧侶は多いですが施主様のご意向により朱を入れる事もあります。朱を入れた場合でも没後、朱を消す必要はありません。

 

 

 

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2016年10月02日|サポート情報:建墓, 豆知識